標記の平成電電事件(刑事裁判)が東京高等裁判所506号法廷で行われました。
刑事裁判での公開の法廷で行われるのはおそらく今回が最後となりますので必要な情報をここで先にお伝えします。
事件番号 平成21年(う)第2398号詐欺 被告人 佐藤賢治
裁判長 中山孝夫 右陪席裁判官 鈴木秀行、左陪席裁判官 衣笠和彦
(係属は東京高等裁判所第5刑事部)
開廷時間(13:27〜13:30 報道機関による法廷内撮影)
13:30〜14:19
弁護人2名(現在進行中の民事事件では個人被告の代理人を務めている)
検察官2名
全座席数42席(うち傍聴席から裁判官へ向かって左側8席は報道関係者予約席)
傍聴数17名(うち6名は報道関係)
13:30〜13:31【主文】「被告人の控訴を棄却する」
※本来そのあとで言い渡されるであろう、訴訟費用の負担については、言及せず。
13:31〜14:19被告人席に戻った後、裁判長より控訴棄却理由を述べる。
被告人と弁護人が共同作成した「控訴趣意書」から3つの要項の棄却を請求したので、「事実誤認」「法令違反」「量刑不当(情状酌量)」についてそれぞれ理由を述べる。
事実誤認について、起訴された事実(平成電電匿名組合第20号〜平成17年8月募集)において、30人から合計約3億円を騙し取った。そもそもこれにかぎらず第13号辺りから、は通信機器と出資金が特定されず、その資金は平成電電の運転資金につかうという、単なる関係会社(平成電電設備・平成電電システム)から集めた資金の貸付という事に外ならない。その上、被告人は悪意はなかった・詐欺をするつもりはなかったと主張しているが、非常にワンマン的な経営の立場にあり、それは、平成電電本体の役員・従業員のみならず、協力会社とされた平成電電設備・平成電電システムの熊本徳夫・坂上好治まで優位な立場にあったのだから、平成電電の経営状況を知らない筈がない。平成電電の財務状況が悪化しているのも把握しているはずだ。「リースバックスキーム」という本来の平成電電匿名組合の重要事項説明にないやり方も、被告人本人の発案ということが、原審で平成電電役員・従業員などの証言からも明らかだ。その上、従業員の田代(田代望元平成電電株式会社経理部長)にもリースバックスキームを行うように指示をだしている。
法令違反について、起訴の要因となった平成電電匿名組合第20号に出資した30名からは、出資した匿名組合が本来記載されている重要事項とは違うスキーム(今回のようなリースバックスキーム)で行われているとしたら、出資はしなかったであろうという判決に対し、被告人・弁護人はそれらの出資者は、そこまで見ているということはなく単に10%の利回りに目がくらんでしまい出資した事も考えられ、その原因まで確かめようがない と主張しているが、現に重要事項に記載されていないことを行ったからではなく、被告人が単にスキームが違うというだけでなく、実際に機器を購入して資金と物件を特定することをやらないだけでなく平成電電本体の著しく悪化した資金繰りの穴埋めに使用していたわけであるから、出資者が重要事項の内容との相違については、犯罪事実の誤認ということにはならない。
量刑不当(懲役10年は長すぎる)について、この事件の社会的な背景を取り上げてみても、電気通信事業ということ、多数の一般投資家に虚偽の説明をして出資を勧誘して30人に対して3億6千万円という額を騙し取った。その上、全国紙に大々的に掲載し、さらに債務超過に陥っていることや、公認会計士の監査で「意見不表明」であることを殊更隠し、さらには黒字になっていることまで見せかけて、出資者を信用させた。20号だけ見ても、出資者は2000名で合計37億円にものぼっている。
そして、その30人は中高年層で出資額は300万円〜6000万円となり、多くは今後の生活に大きな不安を抱き深刻な状況に陥っている。それに被告人自ら被害の回復はなされておらず、今後も行われる事はないであろうとみなしている。また、経営破綻の原因も平成電電の事務処理に問題があるなど言い訳も甚だしい。
被害者は個々に被告人の厳罰を望んでいる。
また、被告人は前歴がないことを考えるとしても、再犯の可能性は充分あるためそのような主張は当然受け入れられない。したがって主文の通りの判決とした。
14:19 (被告人が証言台に立ち)裁判長より、「裁判所はこのような判決としたため、これを受け入れて罪を償うべきである。しかし、この判決に不服のある場合さは最高裁判所を宛先として本日を入れて15日以内に上告の手続きをとること。」
(以上)
(2010/09/07/平成電電出資被害者結束委員会・平成電電被害者ブログ・平成電電被害者の会・談 投資戦闘日記)